立体感より、平面での目線
お弁当をきれいに盛り付けるコツを知りたい、という人は多く、お弁当に関するアンケートでも悩みの上位でよく見かける。
お皿に盛り付けるときは、高さと余白を出すことができる。
でも、お弁当は、持ち運ぶためにすきまをつくらないことが必要で、最後にフタをするため高さを活かすのが難しくなる。平面での盛り付けの場合、立体感と余白の代わりに頼りになるのが「線」だと私は思っている。
お弁当の写真を撮る時、さほどテクニックを必要としなくても真俯瞰(真上から見下ろす)の目線で綺麗な写真が撮れるし、中身に線をつくることで、お弁当箱が描く外側に描かれる線である枠の中に収まっていることの美しさが引き立つ気がしている。
お弁当箱は「額縁」
お弁当箱が、ある種の額縁の役割をする、と私は思っている。
「額縁は、絵の美しさを引き立てるものです。それだけではなく、絵の意味やテーマを強調したり、絵の雰囲気を作り出したりすることもできます。」(東京藝術大学のギャラリー「藝大アートプラザ」のWebマガジン)
元々は壁に描かれていた絵画、つまり壁画が、額縁の登場によって家の外に持ち運びができるようになり、さらに額縁があることで収めている絵画を付け替えることもできるようになった、という解説がある。これ、ものすごくお弁当箱の役割に重なるところがある。
箱の中に、印象的な線を引いてみる
では実際に、お弁当の中にはどのような線が描けるだろうか。
具体的な例をいくつか挙げてみる。
①垂直に線を引く
定番のレイアウト。
1段弁当に詰める時、ごはんとおかずの配置が1:1のときに描きやすい。仕切りを使ってもOK。
おかずの形は丸でも角でもよく、特にごはんが白い場合は、コントラストが立ちやすい少し濃いめの色のおかずを置くと、はっきりしたメリハリのある線が出る。2段弁当なら、おかずの段で線を描く。
写真右下のオムレツのような縦長のおかずを、切らずにそのまま盛り付けたい時も有効。インパクトのある盛り付けができる。




②対角線を引く
私は主に、焼き魚の時にこの盛り付け方をすることが多い。
できればそのままの形を活かして盛り付けたいのだが、焼き魚は崩れやすく、そしてお弁当箱に対して少し長いことがある。その時には、お弁当箱の中で一番長い距離をとれる、対角線を利用する。
写真右のように、肉巻きなどの自立しづらいおかずを盛り付ける際、ごはんを壁にして立てかけられるのでおかずが安定しやすく、一列に断面が並ぶことでおかずが引きたつ効果もある。




③平行線を引く(3分割法)
おせち料理の段詰め(段取り。お弁当の中を何段かに分けて詰めること)のようなもの。お弁当箱を3分割にし、ごはんを中央に、左右におかずを詰める。麻婆豆腐やひき肉炒めなどのまとまりにくい主菜や、トマトハンバーグなど濃い味で他のおかずと味を混ぜたくないときに有効。縦に引いても、横に引いてもどちらでもよし。
サンドイッチの断面が美しく見えるのは、何層かに連なる平行線ゆえ。それを同じ理屈だ。
逆に、ごはんの量を増やしたいときは、中央におかずを置き、左右にごはんを。炊き込みご飯と白米を一緒に入れたいときや、写真右のようにすればおにぎりが取り出しやすく、おかずも崩れにくい配置になる。




④放射線状に引く
円状のお弁当箱でのっけ弁の盛り付けをする時に有効。中央にアクセントになる色やおかずを置いてもいい。おせち料理の「末広」と呼ばれる盛り付け方と同じ。暗い色の横に明るい色のおかずを置くと、色のコントラストがわかりやすく、メリハリが出る。
下の写真(右上)のカレーのように、いくつかの具が混ざっているときは、ざっくりと同じ材料(この場合は、厚揚げとオクラ)ごとに具をまとめて盛り付ける。厚揚げの外側の焼き色の部分と、内側の白い部分に分けて盛り付けるだけで、同じ材料で色の明暗を出すこともできる。




⑤十字や平行線の組み合わせ
①と③を組み合わせた応用。格子状に盛り付けるおせち料理の「市松型」にも近い。おかずの種類が多く、どのおかずも同じぐらい入れ込みたい時などに有効。ふだんのおかずはそれほどたくさんのおかずを入れ込まないので、十字や平行線を組み合わせる。
卵焼きは、色も明るく元々四角いのでメリハリのある線を出しやすい。細長いおかずは一見まとめづらそうだが、一番上を同じ方向に揃えて並べるだけで、お弁当の中が整然とした印象になる。




⑥ななめに平行線を引く
②と③を組み合わせた応用。ななめに平行線を引く。おせち料理の「手綱型(升掛け)」と同じ。
斜めに盛り付けることで、同じおかずを一列に並べたい時にできるだけ長い距離が出せる。右のように、中央に大きめのおかずを盛り付けたい時に斜めに置いてインパクトを出す、という手もあり。



と、いくつか盛り付けのパターンをご紹介した。皆さんの毎日のお弁当の盛り付けのヒントになったらうれしいです。



コメントを残す