新学期が始まる4月、ということでお弁当箱の話題が続きます。
3月から設けられたお弁当売り場には、外側のおしゃれにこだわったスープジャーがさらに増加して、いろいろ並んでいますね。ハニーポット型、なんてのもあったり。先日象印マホービン株式会社にお邪魔したときに話題になったのも、この魔法瓶構造のスープジャーのこと。保温弁当箱の新時代の象徴です。
- 具沢山のスープ→それだけで主食OK、が日本の食卓に定着
1985年、日本で初めてのスープ専門レストラン「すうぷ屋」が誕生しています。開店当時のキャッチフレーズは「新体験、食べるすうぷ」だったそう。(すうぷ屋ホームページより)
さらにカップスープなどの大手、クノール社のサイトを見てみると、
1988年 「カップスープ」チャンク登場ー具沢山という意味の「チャンク」の名を冠したスープが登場
1995年 「具リッチコンソメ」登場
1996年 「SoupDo」登場ー世界のご馳走スープをもっと手軽に楽しんで食べてもらいたいという思いから商品化
1999年 「マザーセレクト」登場ー野菜たっぷりで、お母さんが作るように健康感のあるスープ
(クノールのヒストリー|Knorr® クノール|味の素株式会社より)
と具沢山スープは1990年代から着々と食卓に広がっていて、1999年にはスープ専門店チェーン【スープストック東京】の第1号店もお台場に開店。スープがごはん、という認識がいよいよ定着してきた感があります。
本当は、すいとんなんて食べる具沢山汁の最たるものです。すいとん大好き。でもきっと、まだ「昔は、戦時中に食べたのよ」みたいな話がくっついて、素敵には見えなかったでしょうね。きりたんぽ鍋だって、汁物だけでごはんになります。おかずいりません。見せ方伝え方で、人の受け止め方は変わりますね。ほら、豚汁だって、スープジャーならちょっといい感じですもの。
- スープジャーが日本の市場に登場
そして、北米ですでに10年以上前から販売実績を持っていたサーモス社が、満を持して2009年9月に「真空断熱フードコンテナー」を発売。さらに2012年、この年に市場は飛躍的に拡大します。当時のプレスリリースを見てみると、各社追随してスープジャーを発売しています。
2012年7月20日象印マホービン あたたかいスープもひんやりメニューもおいしい温度のまま持ち運べる ステンレスフードジャー 新発売
2012年8月17日タイガー魔法瓶 プレスリリース | ステンレスカップ〈スープカップ〉(MCC-A型)
サーモス社自身も、「2012年の出荷数は前年比2.5倍以上」としていてその拡大ぶりがうかがえ、これを反映して2013年には、スープジャーのレシピ本が続々登場しはじめました。
とまあ、わずか5年ほどで新定番の弁当箱(食べ物の携帯容器)として浸透したスープジャー。最初はこの呼び名も、フードコンテナー、フードジャーなど最初は各社ありましたが、「スープジャー」が一般名称化しているようです。
- スープジャーがどうして良いのか
スープジャーは
「保温効果が高い」
「保冷効果も高い」
「保温効果が高いが故に、余熱調理もできちゃう」
「保温保冷効果が高い故に、お弁当のバリエーションが広がる」
とその機能がほめられていますが、そもそも魔法瓶構造はずっと前からあって、珍しいことじゃない。確かに熱々や冷え冷えの「出来立て感」が味わえるのはすごいことですが、スープジャー以前の保温弁当箱でもある程度可能でした。温かいカレーや味噌汁なんかも、保温弁当箱で味わえました。余熱調理についても、甘酒や煮豆やお粥を魔法瓶の水筒で作っている人は、ずっと前からいました。
すごいのは、長年多くの人が抱えているお弁当の悩みを一気に解決できたことにある、と私は思っています。
お弁当の悩みは、
・彩りや見栄えの良さ
・おかずの組み合わせ
・すき間を埋める副菜選び、おかずのレパートリー が多数。
でもスープジャーは、
・フタを開けたときの見栄えを気にすることがない
・崩れるとか気にしなくていいから、すき間を埋めるおかずも不要
・それだけでいいから、いくつかのおかずの組み合わせを考えなくていい
・主食とおかずのバランスよくとか、栄養がどうとか、そういうおカタいことも、あれこれとりあえず突っ込まれない立ち位置にいる
と、お悩み一気に解決です。
各社とも魔法瓶構造なので、基本的にフタの密封性が高いから汁モレしづらい。多少振り回したって、おかずが寄っちゃってフタ開けてがっかり、なんてこともない。少しでも崩れないように、しっかりすき間を埋めなくちゃ、なんて心配要らないのです。寄ってるどころか、フタを開けたら湯気が上がる、なんてステキ過ぎます。あったかいって、それだけでごちそうです。
しかも、手抜きじゃない。
もし手抜きだったとしても、全然手抜きに見えない。
- とはいえ、課題はある
当たり前ですが、課題はあります。「保温効果が高いが故に、余熱調理もできちゃう」の過信は禁物。入れても加熱される訳じゃないですからね。あくまで余熱。きれいに洗っていないスープジャーに、中途半端な温度のものを入れたら、腐るのを加速させるだけです。
容器としての今後の課題は、フタについてしまう匂い対策が1つ。カレーとか、本当になかなか匂いがとれません。でもきっと、これも各社が微修正をかけて進化するんだろうなあ、と勝手に期待しています。選ぶ時は、フタのパッキン部分が洗いやすいか、どこまで食洗機でいけるか、などをチェックしながら選ぶと良いかもしれません。
というわけで、私はスープジャーが大好きです。新定番のお弁当箱として、我が家では完全に定着しています。
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