前回は、「お弁当食材考察:鶏胸肉その1(特徴)」として、鶏胸肉の特徴についてまとめました。今回はその特性を踏まえながら、どう調理するかについて考えてみようと思います。
前回、鶏むね肉の特徴のひとつとして「脂身が少ない」というのを挙げました。赤みの部分が多くヘルシーな反面、脂身が少ないせいで火を通すとジューシーに仕上がらず、パサパサになりやすいという最大の弱点があります。
今回は、そんなパサパサになりやすい鶏むね肉の悩みを解消すべく、いくつかの調理法に注目してみます。
1 ゆでる
鶏むね肉がなぜパサパサになるかというと、鶏むね肉は火を通した時に水分を失いやすいためです。また、脂身も少ないために水分蒸発を防ぐ油膜も作れないため、食べた時にパサパサと感じてしまうわけです。
それを解消するには、水分を与えながら火を通せばいいのです。例えば、ゆで鶏は鶏むね肉をゆでること水分が飛ぶのを防ぐだけでなく、肉の間に水分が染み込みジューシーな食感に仕上げることができます。
ゆで鶏の調理法は簡単!まずは鶏むね肉に塩をまぶして30分ほど置き、鍋にしょうが・酒・水を入れて鶏むね肉を火にかけるだけです。
ここでひとつポイントなのが、鶏むね肉を余熱調理でゆっくり火を通すこと。頃合いになる少し手前で火を止めてゆっくり火を通すと、パサつかずにやわらかくしっとり仕上がります。
もう1つは、鍋の中で、ゆで汁の中で常温になるまで置いておくこと。加熱調理してすぐに鍋から取り出すと、湯気となって水分蒸発してしまいます。ですから、湯の中に浸けたまま常温になるまで待ち、それから取り出すことをお勧めします。そして茹で汁は、ぜひスープなどに活用してください。
ゆで鶏はいろんな料理に使える!
ゆで鶏はすでに火が通っていて下味も付いているので、そのまま身を割いたり切ったりして、サラダした薄切りにしてタレをかけてバンバンジー風にしたりなど、いろんな料理にアレンジすることもできます。
お弁当にするなら、カオマンガイ風がよし。ゆで鶏の茹で汁でごはんを炊くと、風味良くおいしくできます。
上記でご紹介した下味は薄味ですが、もっとしっかり塩味をつけてさらにハーブなどと組み合わせれば、最近コンビニで人気のサラダチキン、それと同じ感覚で使うことができます。それについてはまた今度。コンビニで買うよりはるかにお得ですよね。
ちなみに、ゆで鶏は冷蔵で約3日間、冷凍で約10日間と保存がききます。
2 揚げる
鶏むね肉は脂身が少ない分、油を補ってあげるとパサパサにならずにすみます。特にチキンカツなど衣をつけて油で揚げることで、肉の中にある水分も閉じ込められるため、牛肉や豚肉に勝るとも劣らないジューシーな食感に仕上げることができます。また、もともと脂身が少ないので、揚げ物といっても他のお肉を使った時よりカロリーを抑えることもできます。
チキンカツの揚げ衣は卵を使わず、牛乳と薄力粉を使うのが我が家流。ビニール袋の中でこれらを混ぜ、下味をつけた鶏むね肉を入れ、パン粉を広げたバットに出して全体にパン粉づけして揚げれば、手も汚れにくく、片づけも簡単です。揚げ物って、揚げ油の処理が面倒とよく言いますが、実は衣づけの後の片付けも同じぐらい面倒ですよね。
カツもいろんな料理に!
チキンカツもゆで鶏同様、さまざまな料理に使えます。お弁当にも大活躍します。鶏ムネ肉は脂分が少ないので、冷めても白く脂が固まって味落ち、なんてことがなく、お弁当にとても向いている食材なのです。
なにせ、カツ1枚で十分な存在感があるので、あれこれと他のおかずを作らなくても1品勝負ができます。カツをもちろん、そのままで食べてもおいしいですが、例えばチキンカツを卵で閉じてカツ丼に。チキンカツ、玉ねぎ、卵、めんつゆ、あとは緑の彩り(ねぎでも、グリーンピースでも、かいわれなんかも)で、5分もあればできてしまいます。
チキンカツの両面にソースを塗ってパンで挟んでチキンカツサンドにしてもよし。サンドイッチはなんとなく食べ応えがたりないような気がしますが、鶏胸肉なら噛み応えと厚み十分、育ち盛りの少年少女も大満足のボリュームサンドイッチになります。
チキンカツは冷蔵で約4日間、冷凍で約10日間保存できます。冷蔵保存の際には、保存容器にペーパータオルを敷いて余分な油を吸い取りながら、冷凍保存の場合はペーパーで包んで油を吸い取ってから1枚ずつラップに包んで保存するといいでしょう。
今回は鶏むね肉を「ゆでる」「揚げる」調理法をご紹介しましたが、鶏むね肉にはおいしく食べられる調理法がまだあるので、次回またそこを探りたいと思います。