お弁当はポータブルな食卓。日常の風景です

お弁当は世相を反映する。それは確かにそうかも。
腰弁当、愛妻弁当、塾弁、弁当男子などなど、「弁当」とついた社会の風潮を反映した言葉はこれまでもいろいろありました。最近では、デコ弁、キャラ弁あたり?

つい最近読んだのは
クックーのおいしいお仕事 #04キャラ弁はもう古い!?次にくる「おいしい」は何?(2015.04.17 電通報)
「子育てママを応援する雑誌の編集長に伺ったんだけど、いま、子どものお弁当は見た目重視のキャラ弁よりも、昔ながらの和食をとり入れたヘルシー弁当派が増えてきているんだって。ひじきをいれたり、煮物をいれたり。ちょっと前だと考えられなかったような渋いお弁当が増える気配があるそうなの。」

とのことで、その理由は
「古いってわけじゃないのよ。でもね、いまのママたちの間には、「ていねいに暮らしたい」という気持ちが強まっているの。和食ってだしをとったり、じっくり味をふくませたり、作り方が繊細でしょ。「和」のお弁当を作ることで「ていねいな暮らし」をしているという気持ちになれるみたいなのよ。」

だそうです。

いじめや仲間はずれにも繋がるキャラ弁 禁止伝える幼稚園も(※女性セブン2014年11月20日号)

の記事が出たのが、つい5か月前。いろいろコロコロ話が変わって、大変ですね。

通学や通勤のお弁当って、単純に、家の食卓で食べる代わりに外出先で食べる、ってこと。
お弁当はポータブルな食卓です。日常です。あえてあれこれそんなに騒ぐものかしら、とも思ったりします。

通学通勤弁当って、電車などの交通機関が発達した明治の時代から発展してきたものですが、自分の家のお弁当の中身について、作る人と食べる人、その当人同士が「あれを入れてくれ」「これ入れないで」って言いあうのは家族の会話であり、コミュニケーションでもあり、ごく自然なことですが、よそさまのお弁当箱のぞいてアレコレ言うって、ただの余計なお世話ですねえ。よそさまのお弁当を自分が食べる訳じゃなし、口出しするのは筋違いです。

我が家は息子がプリスクールにお弁当持参で通学している時も、子ども園に弁当持参で通っている今も、キャラ弁が流行っていると感じたこともなければ、子どもが作ってと言ったこともないので、キャラ弁が本当に流行っていたのか(いるのか)全然実感ありません。園からもお達しが出たこともなければ、それで息子やお友だちがいじめられた話を聞いたこともありませんから、5か月前の記事も、ちんぷんかんぷんでした。ありがたいことです。

ちなみに私は、基本お弁当は、冷蔵庫のありもので作るものだと思っていて、あれこれベタベタ触った食べ物をお弁当に詰めるのが嫌なので、キャラ弁は作りません。たまの遠足や気分が乗って、なら楽しそうだし、作るかもしれないけど、毎日は作りません。フタを開けた瞬間の見た目の感動と、食べている時のおいしいと言う感動ならば、後者のほうがより持続性があると思っているし、子どももそのほうが食べる。よそさまがどうこうでなく、自分も、我が家の子どもたちも、キャラ弁が好きじゃないからです。

毎日お弁当を作っている当事者からすれば、キャラ弁も和食重視傾向も、あまりピンとこなくて「へー」という感じ。
そもそも作れないものや作り慣れていないものを、朝のあの短い時間に作って詰めるなんて無理無理。少なくとも私は無理です。

作り慣れた、食べ慣れた、飽きのこないものを作って、腐らないように傷まないように持っていく。
●●弁、と流行の呼び名などつかなくて結構、当たり前のお弁当が私には一番しっくりきます。

今日もお弁当。家族皆元気に過ごせますように。それが一番。

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投稿者: 野上優佳子_YUKAKO Nogami

料理家・弁当コンサルタントとして新聞、雑誌、TV、ラジオ、ウェブ、全国各地での講演など多メディアで活動中。「楽しく作って毎日おいしい こどものおべんとう」(成美堂出版)を始めお弁当などをテーマにしたレシピ本の著書(20冊以上)、レシピ本の企画制作、ワークショップ、弁当箱のプロダクト開発や商品アドバイザーなども行っている。 35年以上お弁当を作り続け、300個を超えるお弁当箱を使用した経験に基づき、実際に日々お弁当を作る目線からの、実用性と汎用性の高いレシピと洞察が好評を博している。私生活では2女1男の母。1972年生まれ。 Instagram(http://instagram.com/yukakonogamis/)ではお弁当を詰める様子やレシピの動画を日々更新中。 国立研究開発法人水産研究・教育機構「SH“U”N project(サスティナブルでヘルシーなうまい日本の魚プロジェクト)」外部レビュー委員。東京学芸大こども未来研究所 教育支援フェロー。東京学芸大学教育学部国際文化教育課程日本研究卒業。

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