先週末の2月23日、神奈川県の二宮町に。町民生活部防災安全課からのご依頼で、【かしこい消費者のための消費生活講座】の講師として町民センターにお邪魔しました。
「おいしいお肉の選び方〜美味しく食べるために〜」
というお題をいただき、何をお話ししようかなあと。新鮮なお肉の見分け方とか、消費期限の目安やホームフリージングのコツ、なんてお話はありきたりだし、よく雑誌や情報サイトなどでも紹介されていることなので、面白みもない。
そこで、消費という意味を改めて検証しながら、美味しい食べ方を探すことにしました。講座では、
・「消費」は単なる購入だけでなく、食べるところまでを含んでいる
・安全性について自分が確かに掌握できるのは、購入→保存→調理→食べる までの間だけ
(食肉の生産→販売についての安全性は国や業界が定めたルールや良心を信頼して私たちは購入している)
・いくら新鮮なものを選んでも、冷蔵庫に入れっぱなしでは何の意味もない
・美味しく食べるカギは、購入の次(保存と調理)の行動にある
・冷蔵冷凍技術の発達以前の肉の貯蔵法にヒントがある
→干肉、燻製という調理法
・燻製は、保存性・効率性・調理の汎用性・娯楽性・満足感を満たす「賢い」調理保存であり消費行動
・シンプルに家庭でもできる燻製は、揚げ物よりも簡単
(ふだんの焼く、煮る、揚げる、の一般的な調理行動にも容易に組み込める)
その賢い消費行動が、現代の食と消費の大きな問題の1つ「食品廃棄ロス」も減らす一歩にもつながる
ということをお話ししました。
そして実際に目の前で家庭でできる簡単な薫製をデモンストレーションで作り、ベーコンと燻製卵、スモークチーズもご試食いただきました。
多くの皆様に来ていただき、とても楽しんでいただけたそうで、本当にうれしかったです。
帰り際に皆さんにご挨拶していたら、あるおばあさまが
「この年になると、食べることって億劫でね。でもあなたの話を聞いて、食べることって楽しくて、とても興味深いことなんだって思い出しました。どうもありがとう。」
またあなたが来てくださったら必ず話を聞きに来ますよ、と言ってくださり、なんだかとてもうれしくて、胸いっぱいになりました。
二宮町役場の皆様、来てくださった皆様、本当にありがとうございました。
その帰りの東海道線、気分よくビールなんか飲んだりしていたら、なんと調理道具や資料を入れたキャリーケースを車内に置いて降りてしまい…
でもとてもうれしいことに、忘れ物として車内の清掃の方が届けてくださいました。よかった!
ほんとに、家に着くまでが遠足、ですね。